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第1章 社会保障制度の概説
2.公保険と私保険
 (1)公保険と私保険の相違点

 世の中で保険と呼ばれるものは、大きく公保険と私保険に分けることができる。
 公保険とは、国その他の公共団体が公的な政策手段として行う保険をいい、公保険の代表的なものは、社会政策的目的を実現するための社会保険であり、前述したとおりである。
 公保険が「保険」と称されるのは、加入者から保険料を徴収して需要が発生すれば保険金を支払うという、いわゆる保険の仕組みが用いられているからである。しかし、健康保険等の社会保険においてしばしばそうであるように、保険料がリスクや保険金に対してではなく、所得額に比例している場合は、給付反対給付均等の法則は成り立たない。また、社会保険は国民皆年金・皆保険にみられるように原則として強制加入となっている。
 このように、公保険は保険という名はついているものの、その実質は私保険と大きく異なっており、法的規律も、公保険においてはそれぞれの公保険に関して制定されている特別法によって行われ、民法・商法による規制を受けない。
 これに対して私保険は、民間保険ともいい、日常生活を脅かす様々なリスクに対して、生命保険会社、損害保険会社、生活共同組合、労働者共済協同組合等が提供する各種保険商品の総称のことをいう。非常に多種多様な保険商品が存在しており、一般に、民間保険は生命保険と損害保険に大別されるが、近年では、両方の性格を帯びた「第三分野保険」も台頭してきている。
 公保険とは異なり、私保険は純然たる私経済的見地から行われる保険であり、私保険においては、国家財政による補助は予定されておらず、加入の強制もなく、法律的規律も民法・商法等の私法によってなされる。
以下、公保険と私保険の相違点を【図表1-2-1】に示す。

【図表1-2-1 公保険と私保険の相違点】

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