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海外勤務者の社会保険

海外勤務者の労働社会保険の適用にあたっては、海外勤務者の人事管理上の前提と福利厚生の原則を理解しておく必要があります。

海外勤務者の人事管理上の前提と福利厚生の原則

海外勤務者の人事管理上の前提
海外勤務者は、いずれは日本本社に復帰し、退職の場所も日本になることを前提とする

福利厚生の原則
海外給与の決定方式にかかわらず、
  日本国内における社会保障受給資格を国内勤務者と同一に保つこと
 ● 外部コストが発生する場合は、実費全額を会社が負担すること
 ● 同一事由に対して保険金が重複して支給される場合には、重複分を会社に返却させること
を原則とし、自社の海外勤務者およびその家族にとり、不利益な取扱いまたは過剰な取扱いが生じないよう、十分な方策を講じる

日本年金機構「海外勤務者の報酬の取扱い」は企業の実情を考慮しているのか?

日本年金機構が2014年に発出した「海外勤務者の報酬の取扱い」に衝撃を受けた企業は非常に多いことだろう。
パンフレットでは、国内適用事業所および海外の事業所双方から給与等が支給される例を挙げて、「報酬等」に算入しないケースと算入するケースを具体例を示して解説しているが、この取扱いを貫くならば、グローバルに事業を展開する日本企業の成長を妨げる重い重い足かせとなることはもちろん、海外勤務者の将来の社会保障受給資格や給付水準を公平に維持することが非常に難しくなる。

健康保険法および厚生年金保険法はとても歴史のある法律であり、時代とともに幾多の改正が行われてきたが、その中でも「報酬に関する規定」は、企業の事業活動のグローバル化に対応できているのか、専門家としては疑問が残るところである。

海外で勤務する国家公務員(在外職員)と海外で勤務する民間企業従業員との間に不公平は発生していないか、という点においてもバランスがとれているのか検証が必要ではないだろうか。

政府が掲げる成長戦略を後押しする新たな発想で、海外勤務者の報酬取扱いを是非とも整備していただきたいものである。

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