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本稿は、筆者が社会保険労務士ならびに海外人事担当者として、被用者保険を主とした国内労働社会保険の取り扱いについて整理を行い、1999年10月に海外人事研究会*において発表したものをベースとしてその後の法令・通達等の改正を踏まえ今日的内容への改訂を行ったものです。
本稿が、企業の海外人事担当者各位に幅広く活用され、日常の業務処理、問題解決の一助になり、ひいては海外勤務者とその家族の福祉の向上に資することができれば幸いです。
ただし、内容によっては、必ずしも公的な見解等が明確化されていない事項についても私見を記載している箇所がありますので具体的事案に対する適用にあたっては十分ご注意願います。
改訂にあたり終始ご協力をいただいた長澤宏先生に心から感謝の意を表します。
2009年11月
社会保険労務士 沓掛 省三
*海外人事研究会は、長澤宏先生が発起人となって関西の海外進出企業の海外人事担当者の有志が集まり、興味のあるテーマについて、経験や知識のある会員自らが講師となったり外部から講師を招いて勉強会や各種情報交換会などを実施。
時代の変化と共に経済産業活動はグローバル化し、日本企業の海外進出は大企業のみならず中堅・中小企業にまで裾野は拡大しており極めて一般化している。これに伴い日本企業から海外事業場に派遣される社員、いわゆる「海外勤務者」も増加の一途をたどっている。
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険といった日本国内の労働社会保険は、もともと日本国内だけでの保険適用、保険事故、保険給付が考えられていたため、海外勤務者とその家族を対象とする取り扱いについては様々な不備・課題が見受けられる。
海外勤務者は、いずれ日本本社に戻して再び活用し、かつその退職の場所も日本を想定していることから社員を海外に派遣する際には、国内労働社会保険の取り扱いについても、不利益な取り扱いまたは過剰な取り扱いが生じないよう、十分な方策を講じなければならない。しかしながら、海外勤務者人事管理の特殊性と労働・社会保険制度の複雑さなどが相まってか、それらの取り扱いが十分理解されていないもしくは十分に活用されていない面が見受けられる。